しっくいって本当にすごい!100年続く漆喰メーカー「田川産業」に聞いてみた
10
2026
Apr
漆喰(しっくい)は、天然鉱物資源から作られた、自然素材100%の塗り壁材です。姫路城など真っ白なお城の城壁などは、このしっくいでできています。姫路城は、当時の天守が今も残る現存天守。この事実だけでも、しっくいがどれだけすごい素材かがわかります。

とはいえ、「しっくいって何がいいの?」「一般人がしっくいを扱うなんて難しいんじゃないの?」など、さまざまな疑問をもつ方も多いと思います。
そこで老舗漆喰メーカーである、田川産業 企画推進部マネージャーの岩田さんにお話を伺いました。
INDEX
姫路城、いやピラミッドも!しっくいの驚くべき歴史


しっくいは江戸時代のお城にも使われているということですが、歴史としては江戸時代からになりますか?

実は、7世紀末~8世紀初頭にかけて作られたといわれる「高松塚古墳」の壁画の下地がしっくいでできていたことがわかっています。つまり西暦700年頃から壁材として使われていたんです。

そんなに古くから?

日本の壁材としてはそうなのですが、世界でみるとさらに古い歴史があります。エジプトのピラミッドの石と石の充填材や、万里の長城のレンガの目地材として、砂しっくい(消石灰に砂や石などを混ぜた石灰モルタル)が使われていました。約5000年前ですね。

ということは、しっくいは海外にもあるということですか?

はい。ヨーロッパなどは特によく使われています。地中海サントリー二島の白い建物もしっくいです。しっくいは海外から伝わり、日本で独自に発展していったんです。

「西洋漆喰」や「和漆喰」という言葉を聞いたことがあります。

そうですね。主原料は日本も海外も「石灰石」です。石灰石は、長い歳月をかけてサンゴや貝殻が堆積、地殻変動で地上に隆起し、化石化したものです。


もちろん石灰石のままでは、しっくいにはなりません。しっくいにしていく段階で、「西洋漆喰」と「和漆喰」の違いがでてきます。

では、改めて日本のしっくいがどうやって作られるのか、教えてください。
しっくいは、化学式が変化して生まれた希有な建築材料

石灰石は、焼いたり水をかけたりすることで化学変化を起こします。化学変化を起こさせることで「しっくい」が生まれます。さらに、しっくいを壁材として塗ったあと、石灰石に戻ることで強固な壁になるんです。

それも化学変化ということですか?

はい。順番にご説明しますね。
- 石灰石(炭酸カルシウム)
約1,000度程の高温で加熱することで二酸化炭素が抜け、生石灰(きせっかい)へ。 - 生石灰(酸化カルシウム)
生石灰に水を加え、消石灰に。 - 消石灰(水酸化カルシウム)
消石灰に、スサや糊といったつなぎを加えてできたのが「しっくい」です。


この化学式を見るとわかりやすいですね。しっくいは塗ったあとに水分が蒸発して、さらに空気中の二酸化炭素を吸収して硬化すると。

はい、その通りです。しっくいは石灰石から作られ、時間をかけて石灰石へと戻っていく、珍しい建築材料なんです。

大昔に、焼いたり水をかけたりしてみようとした人がいたってことですもんね?その人すごいですよね。

ほんと、そうなんですよ。諸説ありますが、「山火事が起こったあとに雨が降り、石灰石の変化に気づいた…」というのが有力だといわれています。

なるほど~。気づいた人がいて、研究が進んでいったということかもしれませんね。

昨今では、脱炭素やカーボンニュートラルといった環境配慮の時代にCO2を吸収して硬化していく、環境配慮型の建材としても注目されています。
しっくいの6大特徴、理由を知って納得!

ところで、しっくいには消臭機能や調湿機能など、さまざまなメリットがあるといわれていますよね。

「消臭性」「調湿性」「安全性」「抗菌性」「防カビ性」「不燃性」があります。
「消臭性」「調湿性」無数の孔の力

しっくいには、目に見えないほどの細かい孔(あな)がたくさんあり、ニオイを取り込んだり、湿気を吸収したり放湿したりしているんです。

だから、「消臭性」や「調湿性」があるってことですね。
抗菌性についても、この孔が関係しているんですか?
「抗菌性」「防カビ性」「安全性」は強アルカリ性の力

抗菌性があるのは、しっくいの主成分が強アルカリ性だからです。この環境下では、ほとんどの細菌・カビやウイルスが生息できません。

つまり、「抗菌性」「防カビ性」は、強アルカリ性のおかげなんですね。

また、弊社が独自に行った抗菌試験では、新型コロナ同系統ウイルスも、しっくいにより2時間で97.5%不活化することが明らかになりました。
岩田:さらに、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどを吸着分解する機能もあり、「安全性」にもすぐれています。

強アルカリ性のすごさは、以前『スーパーマナチュラルマルチクリーナー』でも勉強しました。
あれ?でも、強アルカリ性なのは「しっくい」の状態なので、「石灰石」に戻ってしまったら強アルカリではなくなるのでは? そうすると、抗菌性や防カビ性もなくなってしまうってことでしょうか?

いい質問です!
しっくいはだいたい1.5mm~2mm程度塗ります。すると、表面はすぐに二酸化炭素に触れるから石灰石に戻ります。しかし芯の部分は表面が硬化しているから二酸化炭素は入りにくいんですよ。ものすごい年月をかけて、ゆっくりゆっくり固まっていくので、強アルカリ性も長い年月残り続けるわけです。


すごい!だから「抗菌性」「防カビ性」 の効果が長持ちするということですね。
「不燃性」は石灰石という無機質な性質の力

不燃性については、炎をあげて燃えないという意味ですか?

はい。表面は石灰石に戻る、つまり石の状態になっていると考えてください。石に火をつけても、炎をあげることはないですよね?

なるほど、わかりやすいです。
しっくいはDIYで一般家庭にも取り入れられる時代に!

しっくいの凄さとその理由が、よくわかりました。でも、やっぱり「しっくいの壁って職人技」というイメージが拭えないんですよね。

そうですよね。私たちも、もともと職人さん向けの高品質な「しっくい」を作っていました。「城かべシリーズ」や「古代漆喰シリーズ」は技術も必要です。大阪城や熊本城の補修にも使われている製品です。


ただ2000年頃からでしょうか、DIYできるしっくいが市場に出回るようになって。でも100%天然素材ではないものが多かったんですね。
それをお客様から聞いて「え?DIY業界のしっくいは、そういう状況だったのか!」ということを初めて知りまして…。
そこから、一般の方にも扱いやすく、天然素材100%のしっくいを開発したいと考えたんです。

そうして生まれたのが『NURI2(ぬりぬり)』なんですね!


はい。素材としては職人さん向けと遜色のない仕上がりで、かつ一般の方でも塗りやすいものに仕上がりました。発売できたのは2016年です。

100%天然素材にこだわる理由は何ですか?

しっくいに興味をもたれる方の中には、シックハウス症候群など、化学物質アレルギーにお悩みの方も多いんです。重度の過敏症の方から相談を受けることもあるんですよね。
だから、そこはこだわりたい部分でした。

なるほど!重度のアレルギーをおもちの方でも大丈夫なほどの製品に仕上がったということですね。

以前、ダンボールもダメという方がいらしたんですが、『NURI2(ぬりぬり)』をお送りするときはダンボールに入れるんです…。

そりゃ、そうなりますよね…。

なので、ダンボールはご家族に開けていただきましたが、『NURI2(ぬりぬり)』自体はまったく問題なく、喜んでいただけました。

それはすばらしい!

はい。そこは自信をもっておすすめしたいと思います!
5000年以上の歴史を誇る「しっくい」は魅力たっぷり!
しっくいについて、老舗メーカーである田川産業の岩田さんに改めてお聞きすることで、その素材の素晴らしさを実感することができました。
DIYで手軽にしっくいをご家庭に取り入れることができるようになった、この時代。100%天然素材のしっくいである『NURI2(ぬりぬり)』について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください!
※この記事の内容は、2026年2月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。








