弊社ではさまざまな磁石を扱っていますが、どんな磁石も「着磁」をしなければ磁石にならないというのはご存じですか？

磁性材料と呼ばれる原料に、磁力を与えることです。

すごいというか…。なくてはならない技術ではありますが、作業は一瞬で終わるんですよ。

はい。機械さえあれば一瞬で終わります。ちなみに着磁の反対、脱磁もあります。

はい、そうです。例えば、アナログの時計。磁力を持ってしまったため、正常に動かなくなってしまうということありますよね。そんなときは脱磁を行えば、直すことができるんです。脱磁装置をおもちの時計屋さんで、修理することができるんですよ。

いや、それはできませんね。着磁可能な原料「磁性材料」と呼ばれるものが対象となります。

もっともポピュラーなのが酸化鉄ですね。材料の違いで磁石の呼び名が変わります。フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などがありますよ。

一般消費者が使っているのは、フェライト磁石が中心でしょうね。ネオジム磁石の場合、価格も高くなりますから。

ちなみにネオジム磁石は日本人が発明したんですよ。

インターメタリックス顧問の佐川眞人氏が、ネオジム磁石を発明したのは1982年です。それまで最強とされていたサマリウムコバルト磁石の2倍近い磁力をもつという、画期的な磁石でした。佐川氏は、ノーベル賞候補にもあがるほどの人物です。

「フェライトとゴム」「ネオジムとプラスチック」など、磁性材料に別素材を混ぜて成形することで、ゴム製の磁石やプラスチック製の磁石を作ることができます。

これらの磁石を、ボンド磁石といいます。

キャッシュカードやクレジットカードの磁力がなくなってしまうのと同じ原理ですね。

そういえば、弊社はマグネットシートへの着磁を得意としているのですが、それは「多極着磁」っていうんですよ。

一般的にイメージするのは「N極」と「S極」がハッキリ分かれている磁石ですよね。小学校の頃に見た、U字磁石とか棒磁石とか。

目には見えませんが、N極からS極へと磁力線が向かっていると習ったと思います。

マグネットシートにも、もちろんN極とS極があるんですが、ちょっと特殊なんですよ。特殊なフィルムを使うと「磁力」が見えます。

はい。シマシマの黒い部分はN極またはS極部分で、黄色い部分がニュートラルというどちらでもない状態です。N極とS極を並べることで自然にできる現象で、磁力線の距離が短くなる分、磁力が強くなります。

弊社では、両面多極、片面多極、外周多極、内周多極など、さまざまな着磁作業を行っています。

ヨーク付き磁石がそうですね。磁石にヨーク（継鉄）を付けることで、低コストで磁力をアップすることができるんです。

実は磁石の歴史はかなり古く、何と紀元前3000年頃といわれています。ギリシャのマグネシア地方で採掘されたのが初めてといわれているようです。

諸説あるようですが、一見鉄の塊にみえる鉱石が、鉄製品を吸い付ける不思議な働きをもつ鉱石として珍重されていたようです。雷など、何らかの自然現象により磁気を帯びたと考えられているようですね。

自然の産物といえるのかもしれませんね。ちなみに、マグネットは地名にちなんでつけられたそうです。一方、磁石という名前の由来は中国です。中国の慈州には、磁石の材料となる磁鉄鉱の産地があったんです。その地名から「慈石」のちに「磁石」となったそうですよ。