Makuakeサポーター2400人超え!チェーンやワイヤーに代わる選択肢、防犯ベルト『 Unbreakable(アンブレイカブル)』【開発秘話】
22
2023
Aug
門扉や自転車など、ある程度の大きさのものを施錠するときはチェーンやワイヤーが多く使われています。そんな防犯市場に新しい選択肢が誕生しました。その名も防犯ベルト『Unbreakable(アンブレイカブル)』。
クラウドファンディングMakuake(マクアケ)にて先行発売したところ、5日間でサポーターが1000人を超えるほどの大反響。そんな『アンブレイカブル』について、開発者の垣見さんに詳しく聞いてみました。
INDEX
チェーンやワイヤーにも劣らない防犯ベルトとは?
最初に『アンブレイカブル』を開発したきっかけを教えてください。
展示会で耐切創糸(たいせっそうし)「CYGUS®(サイグス)」に出会ったことです。
門扉や自転車の施錠は、丈夫なチェーンや比較的軽いワイヤーが主流です。でも、チェーンは持ち運んだり、巻き付けたりするには重く、ワイヤーも対象物に巻き付けるのが難しいといったデメリットがあります。
鉄にも負けない布「CYGUS®」を使えば、チェーン・ワイヤーのデメリットを補完する新たな防犯用品の選択肢になりうると考え、『アンブレイカブル』の開発に乗り出しました。
耐切創糸というものがあるんですね。鉄にも負けないとはどういうことでしょうか?
耐切創糸とは、金属やガラスなどに触れて起こる切り傷「切創」を防ぐ機能を持った素材です。中でも「CYGUS®」は、米国で警察や特殊部隊、軍隊で防刃(刃物からの攻撃を防ぐ)目的で採用されている耐切創糸の2倍~2.5倍もの耐切創能力があるのが特徴です。
刃物に強い糸でできているとはいえ、絶対に切断できないとはいえません。アンブレイカブル』には、「CYGUS®」にSUS304のステンレス鋼線を内側に入れて織ることで防刃能力をさらに向上させた「CYGUS®-ST」を使用しています。それぞれが異なる工具に強い異素材を組み合わせることで、さらに耐切創能力を高めています。
実際にいくつかの工具で切ってみようとしましたが、想像していたよりも難しく、切れ目が少し入っても切断にはいたりませんでした。
しなやかだから刃が入りづらいんですね。丈夫さが伝わってきました。
「CYGUS®」で『アンブレイカブル』を作ろうと思ったのには、もう一つ理由があります。これまでの耐切創糸はアラミド繊維でできていることがほとんどで、紫外線に弱いという弱点がありました。いくら鉄に負けない丈夫さがあっても、紫外線で劣化してしまうのでは安心して使えませんよね。「CYGUS®」はその弱点を克服した新素材で、屋外でも問題なく使用できるんです。
なるほど。門扉や自転車は屋外で施錠することがほとんどだと思うので、耐候性は重要ですね。そんな「CYGUS®」でできた『アンブレイカブル』、ますます興味がわいてきました。
強いだけじゃない!『アンブレイカブル』の特長
これまでのお話で、強さについては十分にご理解いただけたのではないでしょうか。
『アンブレイカブル』は強いだけではありません。布でできているからこその特長もあります。それが軽くて、しなやかで、錆びにくいということ。
チェーンやワイヤーは長ければ長いほど重く、扱いが難しかったのですが、『アンブレイカブル』は布の利点を活かしているので、長くても扱いやすいんです。
たしかに、長いチェーンは重くてそもそも持ちあげるのが大変ですし、比較的軽いワイヤーも長いとなると巻き付けるのは苦労しそうです。
そうですよね。その点『アンブレイカブル』はMakuake限定最長サイズの2.5mでも約150g。持ち運びも容易で、ワイヤーのように巻き癖がないため、巻き付けやすいです。だから、チェーンやワイヤーでは施錠しづらかった対象物・場所でも活躍できます。
150g!?私の使ってるスマホより軽いです。
専用ロックは240gなので、合わせると400g弱。流石にスマホほど軽くはないですが、まとめると、ポケットに入るくらいの大きさになるので、携帯性は高いといえます。
Makuakeでは自転車防犯ベルトと掲げているのもあって、サイクリストに注目されています。
なるほど。長距離走るときに気兼ねなく持っていけるのは、サイクリストにとって大きなメリットですね。
大きめのカギを使うサイクリストは、邪魔にならないよう、たすき掛けにして走ることもあるようです。チェーンだと重いですが、『アンブレイカブル』は負担なく走れる軽さです。
また、チェーンなど重量のあるカギを使うと、施錠するときに自転車にキズがつく恐れもあります。布製の『アンブレイカブル』はそういった心配もありません。
大切な自転車にはキズをつけたくないという人がほとんどだと思うので、需要があるのもわかります。
南京錠が弱くては意味がない!専用ロックも開発
『アンブレイカブル』には輪っかが1つとハトメが4つついています。これは何のためにあるんですか?
使用する場所に合わせて、長さを調節できるように輪っかとハトメを付けました。
端を輪っかに通すことで最長に、二重にすると約半分の長さで使用できます。
輪っかにそんな役割があったとは!
ベルトに使われているカギもあまり見かけない形です。普通の南京錠と何が違うんですか?
よくぞ聞いてくれました。これは2006年に発売していたチェーン専用ロックを改良して作った『アンブレイカブル』専用ロックなんです。
『アンブレイカブル』はハトメがついているので、ハトメの内径9mmに通せるカギなら何でも使用可能です。でも、一般的な南京錠と一緒に使うと、そこを狙われてしまう可能性があります。
なぜ南京錠が狙われるのですか?
一般的な南京錠には弱点があるんです。それがツル。金属の中で比較的柔らかい真鍮でできていることが多く、本体よりも細いため、切断される可能性があります。さらに、ロックが片方だと、衝撃を与えて引き抜かれることもあります。
シリンダー錠の構造はこちらをチェック
鉄にも負けない『アンブレイカブル』を使っていても、南京錠の部分が狙われて、壊されるなんてことになっては意味がありません。だから、『アンブレイカブル』にふさわしい強さの専用ロックを作ったんです。
そうだったんですね!専用ロックが強い理由を教えてください。
まず、ツルの長さを『アンブレイカブル』の厚さに合わせました。そうすることで、弱点であるツルが見えないようになります。刃が入らない隙間なので、切るのは困難です。
たしかに刃が入りませんね。これでは切るのは難しそうです。
強いのは切断に対してだけではありません。ダブルロックで引き抜きにも強いんです。
他にも、家の玄関に使われるようなディスクタンブラー錠だから、ホコリによるトラブルも少なく、キャップで水のトラブルも防ぎます。
なるほど。専用ロックは『アンブレイカブル』と一緒に使うのに一番適したカギなんですね。
一つ注意していただきたいのが、専用ロックのカギの紛失です。
特殊なものを使っているので、合鍵を作ることができません。最初についている2本をなくしてしまうと、専用ロックが使えなくなってしまうため、持ち運びには十分に気を付けてください。
カギまで本格仕様なんですね。なくさないように気を付けないと!
自転車の盗難防止はもちろん、こんな使い方も!
『アンブレイカブル』、様々な用途で使えそうですね。
Makuakeを公開するにあたって、自転車で考えられる使用例をたくさん試してみました。
長くしなやかなので、ヘルメットや電動アシスト自転車のバッテリーを一緒に施錠できます。前後のタイヤやサドルに通して施錠することも可能なので、パーツだけの盗難も防止できます。
もちろんチェーンやワイヤーのような用途でも使えるので、門扉やバイクの施錠でも活躍します。
自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務になって、ヘルメットをどこに置こうか迷っている方がたくさんいると思うので、一緒に施錠できるのはいいですね。
他にも、Makuakeの先行発売にて、お客様の声が直接届くことで、意外な用途も発見できています。応援コメントでは「自転車ではなく、ゲレンデでスキーやスノーボード板の盗難防止に使いたい。」という声をいただきました。低温下では繊維やベルトが硬化し、防犯性能が若干落ちる場合がありますが、物性としてはマイナス100度まで耐えるので使用できます。
ウエストポーチに入るサイズで軽いから、滑るときも邪魔にならなさそうでいいですね。
そのコメントを見て思いついたのですが、楽器やキャンプ用品、釣り用品、ゴルフ用品の盗難防止にも活躍しそうです。車に積んでいるとき、アシストグリップとつなげておいて車上荒らしを防止したり、現場でも近くを離れるときに地球ロックをしておいたりすれば安心!
作業場に置きっぱなしにしがちなDIY用品の盗難防止にも使えそうです。
車関連ではハンドルに巻き付けて、車両盗難防止のステアリングロックとしても使用可能です。
ハンドルが動かなければ、運ぶのは難しいですもんね。ステアリングロックはチェーンやワイヤーでは大変そうなので、いい使用例だと思います。
例を挙げてみたら、自転車以外にも活躍できる場所がたくさんあることがわかりましたね。ここで出た以外にも、使える場所はあると思うので、様々な用途で使っていただけるとありがたいです。防刃ベルトの認知度があがると、抑止効果にもつながるので。
チェーンやワイヤーくらい使っていただけると嬉しいですね!
現状の売り場を当たり前と思わない商品開発
当たり前だと思っているものを疑ってみるのが商品開発。今回はチェーンやワイヤーの重い・巻き付けづらいといった困りごとに着目することで、それらのデメリットを補完する、軽くてしなやかな防犯ベルト『アンブレイカブル』が誕生しました。
これからも、お客様目線で困りごとを解決できる商品を開発していきます。
おまけ:ホームセンターの店頭に並ぶのはMakuake発送終了後!
Makuakeで先行発売をはじめた当初は、ロットの関係上、デザインサンプルを作成することができませんでした。そんな中でも応援いただいた方々のおかげで、サンプルを作成することができ、8月末には製品も揃う予定です。改めてお礼申し上げます。
デザインは編集部員でもあるつむゴさんによるもの。ベルトのしなやかで柔軟な様子とロープのように巻きつけている様子をイメージしています。
ホームセンターに『アンブレイカブル』が並ぶのは、Makuake先行発売・発送終了後となります。今しばらくお待ちください。
※この記事の内容は、2023年4月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。
※一部、商品ができる前のイメージ画像を使用しています。実際の商品とデザインが異なる場合がありますので、ご注意ください。