DIYレポート
「取説論争」の記事に、PL対策推進協議会のナベさんから連絡が!?取扱説明書の現在と今後について語っていただきました

「取説論争」の記事に、PL対策推進協議会のナベさんから連絡が!?取扱説明書の現在と今後について語っていただきました 

09

2022

Aug

2022年4月にアップした記事、“取扱説明書を「読む?読まない?」論争勃発!?いいものマガジン編集部が出した答えとは”は、消費者としての取扱説明書に対する感想と、作り手としての取扱説明書に対する見解を紹介したものでした。 

取扱説明書を読まない派が多い?取説の意味を改めて考えてみた

なんとこの記事を「面白い!」と連絡をくださったのが、一般社団法人PL対策推進協議会の代表理事である、渡辺吉明さんでした。さらに「ぜひ、皆さんとお話ししたい」とリモート会議の場を設けていただくことに! 

今回は、その様子をご紹介します。 


一般社団法人PL対策推進協議会とは 

日本で初めて「製品事故未然防止・再発防止」を実現し、製品安全社会を醸成するための専門組織として、2019年に設立されたのが、一般社団法人PL対策推進協議会(略称APL)です。 

PL検定やPL対策専門家育成プログラムを通じて、最新のPL対策を広めたり、取扱説明書のガイドラインを出したりといった活動をされている団体です。 


PL対策推進協議会のナベさんが「取説論争」に興味をもってくださった理由 

一般社団法人PL対策推進協議会の代表理事である、渡辺吉明さんとのリモート会議の様子
鈴木さん
鈴木

このたびは、うれしいご連絡をいただき、ありがとうございました。

渡辺さん
渡辺さん

こちらこそ、ありがとうございます。弊社には渡辺が2人おりまして、ボクのことは「ナベさん」と呼んでください。

いいものマガジン編集会議の場に、リモートで参加してくださったナベさんこと渡辺さん。ざっくばらんにお話しくださったので、いきなり緊張の糸がほどけた編集部員たち。まずは一番聞きたかったことをお尋ねしました。 

鈴木さん
鈴木

なぜ私たちの記事に興味を持ってくださったのか、教えていただけますか?

渡辺さん
渡辺さん

一番は、多様な意見を集めた記事になっていたことですね。今、そういう意見を欲しいと思っているんですよ。ボクたちは、長く関わることで専門性は高まっているけれど、そうなると多様性が欠けてしまう部分があって。 

特に消費者が、取扱説明書についてどう考えているかを知る機会がなかなかない。和気産業さんが「取扱説明書を作る立場」でありながら、「客観的に取扱説明書に対する意見も言える」これは、すごいなと思いました。 

鈴木さん
鈴木

ありがとうございます。和気産業は取扱説明書を作っていますが、いいものマガジン編集部員は社外から参加している方もいらして「取扱説明書作りに関わったことがある人」と「関わったことがない人」が混在しています。だからこそ、両方の立場で意見を言い合えるのだと思います。

渡辺さん
渡辺さん

なるほど、そういうことなんですね。

専門家からみた「取扱説明書の問題点」とは? 

和気産業の取扱説明書 Before After
鈴木さん
鈴木

渡辺さんは、これまで多くの取扱説明書を読んでこられたと思いますが、どんな問題点があると考えていらっしゃいますか?

渡辺さん
渡辺さん

まず、面白い取扱説明書ってないよね。とにかく説明というか「してはいけないこと」の羅列が多くて。例えば鍋の説明で「直火で使わないでください、電子レンジで使わないでください…」と、注意書きばかり。できないことばかり書かれても、読んでいて楽しくないですよね。

実はボクは、もともと工業デザイナーをしていたんです。1972年の終わり頃から太陽光発電の開発に携わっていました。取扱説明書も当然作るわけですが、耐用年数20年という製品に何を書けばいいか、20年後、30年後まで見てもらえるにはどうすればいいのか、それが最大の悩みでした。 

鈴木さん
鈴木

それは難しいですね。2~3年で使い終えるものとそうでないもの、モノによっても大きく変わってきそうです。 

渡辺さん
渡辺さん

そういうことです。たとえば椅子ひとつとっても難しいんですよ。椅子って座るものだから、その上に乗って飛び跳ねたらダメっていうのは常識。でも、高さが1メートル以下の椅子だと、電球変えるときに乗ることはあるでしょ? もし乗ってひっくり返ってこけても椅子の責任ではないけれど、「乗る可能性が高い、乗る人が多い」となれば、誤使用も設計上の欠陥の可能性があるといわれることもあるんですよ。PL法にある「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」の定義に抵触するわけですね。

鈴木さん
鈴木

それは難しいし厳しい! でも作る側としては考える必要があるわけですね。 

専門家がおすすめする「取扱説明書」の作り方とは? 

鈴木さん
鈴木

作ることも含め長年携わってこられた渡辺さんは、取扱説明書をどのように作ると良いと思われますか?

渡辺さん
渡辺さん

まず作るとき、製品を前にして考えるのはダメですね。本当は企画書からみて作らないといけません。これは「誰が使う?どう使う?何年使う?」ということから考えないと、抜け漏れがでるし、誤使用の可能性もつぶせないからです。 

ただ法律も変わっていくし、取扱説明書を正しく作るのは難しいと思います。だからうちの協議会では「取扱説明書ガイドライン 2022」を2022年6月30日に出版しました。 

うちのホームページには「取扱説明書チェックシート」もあるので、ぜひ参考にしてもらいたいですね。 

一般社団法人PL対策推進協議会 取扱説明書チェックシート
出典元:一般社団法人PL対策推進協議会 取扱説明書チェックシート 
鈴木さん
鈴木

なるほど、これは勉強になりますね。

渡辺さん
渡辺さん

でも一番大事なのは、「読みやすさ」だと思います。正しい使い方をわかりやすく伝えることに注力してもらいたいですね。消費者向けに、無料で使える「取扱説明書の簡易検証」も用意しました。気になる方は利用してください。 

取扱説明書を「役立つもの、読みたくなるもの」に! 

今回、取扱説明書についての熱い想いを語ってくださった渡辺さん。「今の取扱説明書は面白くない」と言われたのが印象的でした。取扱説明書が面白くないものにならないようにと、会員の方が作られたマンガを、ホームページにも掲載されていました。 

一般社団法人PL対策推進協議会制作のマンガ
出典元:一般社団法人PL対策推進協議会 

私たちはこれからも、「取扱説明書を読むことの大切さ」を伝えていくと同時に、「読みたくなる取扱説明書ってどんなの?」ということを、探っていければと思います! 

※この記事の内容は、2022年6月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。 

2022.08.09
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