
トイレの水が止まらない!?原因と自分でできる交換方法をSANEIさんに聞いてみた
07
2025
Jul
2024年12月、水栓メーカーのSANEI株式会社と共同で賃貸住宅フェアに出展しました。来場者は管理会社や賃貸住宅のオーナーさんで、シャワーなど水栓パーツに興味を持つ方がたくさんいらっしゃいました。
そこでわかったのが、トイレの交換部品に需要があるということ。トイレは使用頻度が高く、給水や排水に使われているゴムが劣化するため、定期的なメンテナンスが必要な設備です。
「トイレのトラブルが発生したら、すぐに業者を呼ばなければならない」と考える方が多いかもしれませんが、「水が止まらない」トラブルのほとんどは、一般の方でも部品を交換することで修理が可能なんです。
そこで今回は、トイレ製品も取り扱っているSANEIさんにご協力いただき、トイレの水が止まらなくなる原因とその具体的な対策方法について詳しく教えていただきました。
INDEX
トイレの水が流れる仕組みと止まらない原因

トイレのトラブルって、自分で解決できるものなんですか?

トラブルの種類にもよりますが、「便器に流れる水が止まらない」トラブルの大半は、部品交換で直すことができます。というのも、トイレの排水や給水の仕組みは単純で、水が止まらない場合は、それらに使われているゴムパーツの劣化や破損が原因であることが多いからです。

そうなんですね。原因を特定するにはどうしたらいいですか?

原因を探るために、まずトイレの水が流れる仕組みを知るとわかりやすいので、説明しますね。
トイレの水が流れる仕組み

- レバーを操作すると、ゴムフロートが持ち上がって、便器への排水がはじまる
- タンク内の水位が下がるとボールタップのポリ玉が下がって、給水がはじまる
- 水位が下がるとゴムフロートが下に落ち、便器への排水がとまる
- 水位があがって、ポリ玉が元の位置に戻ると給水がとまる

便器への排水はゴムフロート、タンク内への給水はボールタップが担っています。
これらの部品が劣化したり、破損したりすることで水が止まらなくなることが多いです。

なるほど。ということはボールタップが壊れると、タンクから水があふれてしまうんでしょうか?

そうならないように、サイフォン(オーバーフロー管)があります。タンク内の水位がサイフォンの口を越えると、便器に排水される仕組みになっています。


つまり、ゴムフロートとボールタップのどちらが故障しても、便器に水が流れ続けるということですか?それだと、どちらが原因か分かりませんね。

トイレの止水栓を閉めることで、どちらが原因かをつきとめることができます。
止水栓を閉めると給水が止まります。その状態で便器への水が止まった場合は、ボールタップが原因。水が止まらない場合は、ゴムフロートが原因の可能性が高いです。
便器への排水を担っているゴムフロートに問題がある場合は、タンク内に残っている水があるため、止水栓を閉めても一定時間は止まらないということです。

最初に止水栓を閉めれば、どちらが原因か判別できるんですね。
慌てずに対応できそうです!

そうです。止水栓はトイレにつながっている配管についています。
ハンドルがない場合は、マイナスドライバーで時計回りに回すと閉められます。

ゴムフロートの交換方法

まずは、止水栓を閉めても便器の水が止まらない場合の対応、ゴムフロートの交換からやっていきましょう。これがゴムフロートです。水を流すたびに動く部分なので、長年使用すると、排水部のフタになっている部分の溝が深くなって、水が止まらない原因につながります。


ずっと水の中にあると、劣化もしやすそうですね。交換方法を教えてください。
ゴムフロートの選び方

まず、適切な交換部品を選びましょう。ゴムフロートには大きく分けて2つの形があります。サイフォンに取り付けてレバーを動かすとパカっと開くタイプ、下に棒がついていて、レバーを動かすと上に持ち上がるタイプです。棒がついているタイプはINAX製に多いです。トイレの構造によって、サイフォンと排水部の距離は違いますが、SANEIのロータンクゴムフロートは万能タイプで穴が複数あるため、パカっと開くタイプのほとんどに対応できます。


自分の家のトイレのゴムフロートがどちらの形か確認すればいいんですね。

形状に加えて、サイズも確認する必要があります。一般的に、和式トイレやタンクが便器から離れているタイプには小さいサイズが、洋式トイレやタンクが便器に密着しているタイプには大きいサイズが合うことが多いです。不安な場合は、ご自宅のトイレに付いているゴムフロートを外して、その形やサイズ、メーカーを確認するのが確実です。

止水栓を閉めている状態であれば、ゴムフロートは外してしまって問題ないんですね。
外して、お店で確認しながら選べば間違いなさそうです。
どのように取り付けたらいいんでしょうか?
ゴムフロートの交換手順


貫通していない穴を使用する場合、ドライバーなどを使い薄い膜を突き破る



クサリはピンと張っていると上手く動作しない可能性があります。少したるんでいる状態が正常です。細かいところは動画を見ていただけるとわかりやすいかと思います。

思ったよりも簡単なんですね!動画を見ながら交換できそうです。
ゴムフロートがパカっと開くタイプでない場合は、どのように取り付ければいいのでしょうか?

基本的な手順は開くタイプと同じですが、取り付ける際に棒を曲げながら差し込む必要があります。 作業が終わって、止水栓を開ける際は調節が必要です。全開にしてしまうとタンクから水があふれてしまう可能性があるので、忘れないように気をつけてください。


交換作業が終わって満足していると、水量調節を忘れそうですね。しっかり覚えておきます。
ボールタップの交換方法!万能型タイプ「SLIM TAP」で解決

次に、ボールタップの交換方法を説明します。止水栓を閉めると便器への水の流れが止まる場合、ボールタップが原因である可能性が高いです。ボールタップは弁パッキンという部品で給水を制御していて、この弁パッキンが劣化・破損、またはポリ玉など他のパーツが破損すると、動画のように便器への排水が止まらなくなります。

弁パッキンが壊れている場合は、弁パッキンだけを交換すればいいのでしょうか?

慣れている方ならそれでもいいのですが、弁パッキンの交換でもボールタップ本体を取り外す必要があって、パッキンの説明書には詳しい取り付け方が書いていないので、初めてだと難しいと思います。また、ポリ玉やサオ、ボールタップ本体に損傷がある可能性もあるので、ボールタップごと交換するのをおすすめしています。

ボールタップ本体を外したりつけたりするのは、詳しい説明がないと難しそうですね。
ボールタップはどのように選べばいいですか?
ボールタップの選び方

ボールタップはタンクの手洗いの有無、手洗いのついている場所、給水場所、タンクの高さ、便器内の水のたまり方によって9種類に分けられます。


9種類!自分の家のトイレに合うものを選ぶのが難しそうです。

ご安心ください。選ぶのが難しいという方向けに、ボールタップにも万能タイプがあります。「SLIM TAP」なら下給水やハイタンク以外のほとんどのトイレに使えます。


パッケージも見た目もスタイリッシュですね。

見た目だけではありません。「SLIM TAP」は従来の弁パッキンに代わって、ダイヤフラムという新しい止水機構を採用しています。弁パッキンに比べて、ピタッと水が止まるうえに交換も簡単です。さらに、押し込んで回すだけのさく楽ナットなので、取り付けも簡単です。


トイレは狭いことが多いので、作業しづらい環境ですよね。
簡単に取り付けられるのはありがたいです。取り付け方を教えてください。
ボールタップの交換手順



給水管を外すと水が出てくるため、バケツを下に置いておく


最後に止水栓の調節をすれば完了です。こちらも細かいところは動画や説明書をご確認いただけるとわかりやすいかと思います。

ゴムフロートの交換よりは難しいですが、それぞれの部品を正しい位置に取り付けることを意識すればできそうです。迷ったら「SLIM TAP」、覚えておきます。

「SLIM TAP」は消音タイプで節水機能もあるので、ご家庭でも使いやすいと思います。
ボールタップもゴムフロートも消耗品なので、どちらかが壊れた場合でも両方まとめて交換することも検討してみてください。「SLIM TAP ロータンクゴムフロート付き」など、ボールタップとゴムフロート両方が入ったセットの商品もあるので、せっかくタンクを開けて水を抜くのであれば、一度の作業で済ませるというのもいいかもしれません。


たしかに、どちらもゴム製であれば劣化のタイミングも同じくらいかもしれませんね。
トイレの修理は自分ではできないと思っていましたが、こうやって仕組みから考えるとそこまで難しくないことがわかりました。説明書や動画を見れば、自分でもできそうです。

リモコンで操作するタイプやタンクレストイレは一部構造が違うため、自分での修理や交換が難しい場合がありますが、一般的なトイレの水が止まらないトラブルは、ご自身で交換することで直すことができます。困ったときは取扱説明書や動画を確認してみてください。
トイレの水が止まらないトラブルは自分で解決できる!
トイレの水が止まらないと、慌ててしまう方も多いと思いますが、まずは止水栓を閉めてみること。チョロチョロと少量が流れ続けている場合でも、放っておくと水道代がかかってしまうので、原因を探って、交換を検討してみましょう。
今回紹介したトイレの水が止まらない以外のトラブルも一部は自分で解決できます。
- レバーを動かしても水が出ない
- レバーが作動しない
- パイプ付近からの水漏れ
- トイレの詰まり
上記のトラブル発見方法はSANEIさんの動画で確認できます。どこが原因か、自分で対処できるのか、迷ったときは動画でチェックしてみましょう。
※この記事の内容は、2025年3月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。