![ビスケット型とチョコレート型が!知っているようで知らないプラスチックの話](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-ogp.jpg)
ビスケット型とチョコレート型が!知っているようで知らないプラスチックの話
10
2019
Dec
私たちの生活の中に溶け込んでいるプラスチックという素材。あまりに身近すぎて考えたことはないかもしれませんが、実は「ビスケット型」と「チョコレート型」の2種類があることをご存じでしょうか?
今回は、知っているようで知らないプラスチックの話を、株式会社光の河野さんのお話を元にご紹介します!
INDEX
ガラスや金属との違いは?プラスチックの特徴
まずはプラスチックの特徴を説明します。
ガラスに比べて | 金属に比べて | その他の特徴 |
---|---|---|
・傷がつきやすいが、割れにくい | ・錆びない | ・熱による伸び縮みが大きく、燃えやすい |
・コストは高いが、ガラスのように透明のものを作ることができる樹脂もある。 | ・曲げやねじりの力には弱いが、裁断や穴あけなどの加工はしやすい | ・DIYなどで使う他の素材(木材・金属・ガラス)と比べて軽い |
![ミスターDIY](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/11/0cca7596e87edc1999bfdb2ef3f71fc2-150x150.png)
ただし、これらは一般的な特徴です。プラスチックにはさまざまな種類があり、耐熱性や耐衝撃性に優れているものもあります。
ビスケット型とチョコレート型?熱に対する性質の違い
プラスチックは熱に弱いとお話ししましたが、それを生かした製品作りがされています。まずは、その2種類の違いを説明します。
熱硬化性樹脂
作りたいものの形を作ってから熱を加えると、化学変化が進んで硬くなります。一度硬くなると、再び加熱しても柔らかくならないという特徴があり、「ビスケット型」と呼ばれています。
主に工業用として使われるプラスチックです。
![ビスケット型](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-01.png)
熱可塑性樹脂
常温では硬いのですが熱を加えると柔らかくなります。冷やすとそのままの形で硬くなりますが、さらに加熱すると別の形にできるという特徴があり、「チョコレート型」と呼ばれています。
一般的に使われているプラスチックはこちらのタイプで、汎用性があります。
![チョコレート型](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-02.png)
熱硬化性樹脂(ビスケット型)の代表選手
フェノール樹脂(PF)
衝撃には弱いのですが、耐熱性に優れていて燃えにくいという特徴があります。そのため電気機器部品や自動車部品、鍋ぶたの取っ手などに使われています。
![フェノール樹脂の例、鍋の蓋](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-03.jpg)
エポキシ樹脂(EP)
耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性に優れています。主に接着剤や塗料として使われます。
![エポキシ樹脂の例、接着剤](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-04-1024x472.jpg)
メラミン樹脂(MF)
表面硬度が高く、耐衝撃性に優れているため、子ども用の食器として良く使われています。給食用の食器として取り入れているところも多いですね。
![メラミン樹脂の例、子ども用食器](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-05.jpg)
熱可塑性樹脂(チョコレート型)の代表選手
アクリル樹脂(PMMA)
耐候性が極めて良いので、看板やディスプレイ材として使われています。また、プラスチックの中で一番透明性に優れているため、水槽に使われることが多いです。丈夫であることから、ガラスが割れた際の応急処置として使われることもあるようです。
![アクリル樹脂の例、水槽](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-06.png)
ポリ塩化ビニル(PVC)
耐水性、耐酸性、耐アルカリ性に優れており、硬質の物はパイプや継手として使われています。可塑剤を使用することで軟質の物も作れるため、ホースや防水シートとして使われることもあります。
![ポリ塩化ビニルの例、ホース](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-07.png)
ポリカーボネート(PC)
強靭で、特に耐衝撃性に優れているため、屋外で使われるものに適しています。一般的にはカーポートの屋根などに使われることが多いようです。樹脂の中では一番硬いので、警察の機動隊や自衛隊などが使うシールドにも使われます。銃弾や刃物にも対応できるほどの強度があります。
![ポリカーボネートの例、シールド](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-08.png)
ポリスチレン(PS)
安価で加工性が高いという特徴があります。水分に対しての反りが少なく高湿度の環境に強いため、浴室の扉に多く使われています。ポリスチレンを発泡成形することで、発泡スチロールになります。
![ポリスチレンの例、浴槽の扉](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-09.png)
ポリプロピレン(PP)
加工しやすい素材であるため、身の回りで使われることの多いプラスチックの一つ。自動車用部品から家電部品、医療機器、日用品をはじめ、さまざまな場所で活用されています。
![ポリプロピレンの例、自動車の部品](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-10.png)
熱可塑性樹脂ならでは!アクリル板には2種類の作られ方が
お店に並んでいるアクリル板に「押出版」「キャスト版」と書かれていることがあります。これは作り方が違います。プロの目でもわからないほど、一見すると見た目の違いはほとんどないそう。でも、実際加工しようとすると違いがわかるそうです。
2つの作り方の違いと、特徴を紹介しますね。
押出板
【作り方】アクリル原料を流し込み、ところてんのように押し出す製法。
![押出板作り方イメージ](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-11.png)
【特徴】厚みが均一で、長いシート状のものも作ることができ、一度に大量生産することも可能です。曲げ加工性に優れています。
キャスト板
【作り方】2枚のガラス板の間にアクリル原料を流し込み、かためる製法。
![キャスト板作り方イメージ](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-12.png)
【特徴】押出板に比べ工程が多いが、生産量が少なくても製造できます。切断・穴あけ・彫刻など、機械加工に優れています。
プラスチックの特徴を知っていれば、こんなこともできる!
今回は、身近にあるけれど実は知らなかった…という情報をお伝えできたでしょうか? 熱可塑性樹脂のアクリル板を使えば、ご家庭でこんなDIYを楽しむこともできます。
- アクリル板を温めたホットプレートに乗せて、2〜3分待ちます
- 硬いアクリル板が厚めのビニールシートのように柔らかく変化するので加工する
![ミスターDIY](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/11/46ee6c68e050ecd7248ec9a95d2d582c-150x150.png)
ただしかなり高温になり、軍手をしていても熱く感じるほどです。やけどしないよう十分ご注意ください。
![アクリル板加工](https://www.e-mono-web.jp/wp-content/uploads/2019/12/m-138-13.jpg)
プラスチックの特徴を知って、ぜひこれからのDIYに役立ててくださいね!
※この記事の内容は、2017年9月時の取材を元にしています。会社名や登場人物の年齢、役職名などは当時のものになっている場合がありますので、ご了承ください。